地図表現

“世の中には様々な学問が存在していますが、実は地図学と呼ばれる分野も存在しています。地図学では、地理的な認識、思考プロセスについて、その表現手段が問題とされることもあります。換言すれば、地図の記録方法、伝達方法と言えるでしょう。一般的には、文章、数字や表、図解、地図、画像等が代表例とされます。文章や統計表、グラフ等に関してはここで説明するまでもないでしょう。「図解」とは聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、各種模式図、断面図等が示されれば、見覚えがあることに気付くはずです。写真に関しても分からない人はいないでしょう。
 例えば学校で用いる教科書を開いてみてください。上述したような表現手段がふんだんに用いられているはずです。これらの表現手段は単純な記録手段と捉えられることも多いのですが、実はそのような価値の低いものではありません。文章一つとっても、自分の目や耳で捉えた情報を言葉にするプロセスで、必ず考えが深まったり、新奇な着想に至ったりするものです。文章だけではありません。写真であろうと、撮影時の試行錯誤は観察力を増強してくれますし、思いがけない出会いを経験することもあります。表現手段はただの媒体ではなく、非常にクリエイティブな側面を有しているのです。地図もその一つであり、地図の内に表現することで、地理を見つめる人間の思考プロセスを豊かにしてくれるのです。
 その地図の本質に迫るためには、まず最初に地図を分類することから始めなければなりません。色々な基準で分類することができ、例えば実測図と編集図といった具合に、作成法によって分類することも可能です。”

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